巨星落つ

実際に墜ちたわけではないのですが、大変お世話になった先輩農家が千葉を離れることになった。

新天地でも農業を続けられるとのことですが。

 

私が中二病でもない、それ以下の中一病か、はたまた小4病だかわからないけども、なぜだか他の農家を一律敵視していた時代から、この人だけはなんとなく尊敬していた農家。

 

なにを尊敬していたかというと「がんばり」です。とにかく一日中朝から晩まで頑張る。雨の中でも休まず頑張る。時に非効率ではないかと思わせるやり方もあったけれど、カッコつけることなく、ひたすらに農作業に打ち込むさまは、尊敬に値した。

 

図抜けて不器用で愚鈍で小4病の当時の私にとっては唯一の指針となっていました。先輩農家や先進農家に教えを請いに行ったり、効率的に機械を導入したり、営業して高く野菜を売ったり、知り合いに野菜を売ったり、そんなものは無粋そのもの。ひたすら、がんばってがんばってがんばって、わき目もふらずにひたすら農業に打ち込めば必ず良くなる。食えるようになる。誰よりも早くから畑に出て、誰よりも遅くまで畑にいる。誰にも助けてもらわずにひたすら頑張るべきなのだ。そんな気持ちで農業に取り組んでいたのが写真のころ。今より三十キロ痩せています。今はれもやらない単独での稲の手植えをやっています。一日やれば700平方メートルくらい植えることができますよ。

早朝四時台から日が暮れて真っ暗になっても頭にライトをつけて畑仕事をやっていた時代。誰にも振り向かれず、売り上げも全く伸びず、日々減っていく貯金額に焦燥感しかなかった時代。これが私の青春です。

今から考えると無駄なことばっかりやっていたわけだけど、やっぱりがんばっていたから続けられたんじゃないかと思う。巨星はまさに恩人です。

今の若手農家は巨星のことを笑うけども、それに関して私は腹が立ってしょうがない。頑張ってないやつに限って巨星を笑う。巨星を笑うやつに限って、農業で食えずに離農したり他業種の仕事を始めたり、堕落する。人の農業を笑うな。

がんばれがんばれがんばれよ。一度でいいからほんとの限界まで農業やってみろよ。真剣にやれよ。若手農家に合うとそんなことばかり言う私はかなりの嫌われ者。嫌われてもいいけどね。

そんな私は今ではぐーぐー遅くまで寝て、スタッフより後からのんびり畑に出る堕落者です。

 

巨星の前途に幸あれ!お世話になりました